言葉
安心がいつも欲しくて
心の底からそれを欲していた
だからわたしはいつも欲しがりのわがままで
きみはいつもブツブツ言いながら
優しい言葉をくれたけれど
言葉はいつもふわふわと軽くて
ちっとも安心できずにいた
言葉とは重量を持っていて
信ずるに足る裏付けのある言葉は
ずっしりと重く
あたたかくて
強い力を持っているんだ
ありがとう
ありがとう
誰にかはわからないけど
とにかく言いたいんだ
いつもありがとう
誰にだっていいや
だって言いたいんだ
こんな気持ちをありがとう
理由なんかなくたっていいや
ありがとね
夏
きらきらと眩しかった夏が
そっと静かに終わろうとしている
さんさんと眩しかった夏が
そっと静かに役目を終える
夏が好きで 夏の似合う君は
確かなもの
確かなものって
とても儚くて
頼りなさげなのだけど
実は何よりも強く
それはいつでも力をくれるもの
確かなものが
あの頃は本当にあったんだ
小さな願い事
せめて夢の中で逢いたいと
切ない思いを抱きしめて
シーツにくるまって目を瞑る
どうかこの小さな願い事が
叶いますように
秋の涙
少し開けた窓から
ふわりと初秋の夜風がはいる
頬が す とひんやりした
バスタブの水面が
突然静かに波紋を広げた
涙が ぽつ と落ちたんだ
あ あたし抜け殻だ
遠くの光
遠くに見えるあの光は
わたしには届かない
遠くから四方をぐるりと照らすあの光は
わたしをつつんではくれない
いつかあの光がわたしに届いて
いつかあの光が私をつつむなら
きっと隣にはあなたがいるのだろう